この投稿では、「学生納付特例制度」を使わなかったために障害年金が貰えなくなりかけた私の大失敗についてお話します。
結論から言うと、学生時代に年金を払う金銭的余裕が無い場合、
学生納付特例制度は必ず利用すべき制度
と言えます。
私は20歳になったとき、経済的に年金が払えないにも関わらず、学生納付特例制度を申請していなかったため、危うく障害年金の支給要件を満たさない可能性がありました。
先に一言で答えを言うと、年金の未納期間があったものの、二十歳前傷病の対象だったため、支給要件を満たし、障害基礎年金を受給できるようになったのです。
▼二十歳前傷病については以下の投稿をご参考ください。
この投稿をご覧の皆さんが、私と同じ間違いをして「障害の程度が重いのに障害年金を貰えない!」と落胆しないために、本投稿で解説していきます。
学生納付特例制度とは
日本国内に住むすべての方は、20歳になった時から国民年金の被保険者となり、保険料の納付が義務づけられていますが、学生には、申請により在学中の保険料の納付が猶予される「学生納付特例制度」が設けられています。
学生納付特例制度の対象
学生納付特例を受けようとする年度の前年の所得が一定以下(※1)の学生(※2)が対象です。
※家族の方の所得の多寡は問いません。
(※1)所得基準(申請者本人のみ)
128万円(令和2年度以前は118万円)+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等(※2)学生とは:大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校および各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方で夜間・定時制課程や通信課程の方も含まれます。
日本年金機構:「国民年金保険料の学生納付特例制度」
学生納付特例制度の承認を受ける方法
初めての申請の場合
学生納付特例制度を受けるためには、
- 住民登録をしている市(区)役所・町村役場の国民年金担当窓口
- お近くの年金事務所
- 在学中の学校等(※)
のいずれかへ
を行います。
(※)在学中の学校等が学生納付特例の代行事務を行う許認可を受けている場合に限ります。許認可を受けている場合は「学生納付特例対象校一覧」の「代行事務」欄に許認可を受けた日付が表示されていますので、ご確認ください。
日本年金機構「国民年金保険料の学生納付特例制度」
申込みには、
①「国民年金関係届書・申請書一覧」からダウンロードできる申込書、
②学生証(写)
③在学証明書(原本)の添付
④基礎年金番号通知書のコピーまたは年金手帳(氏名の記載ページ)のコピー等
が必要になります。
2年目以降の更新申請の場合
学生納付特例制度は、学生の間、使用開始年の後は毎年1回更新申請を行う必要があります。
前年度に学生納付特例制度が承認された方は、4月中旬以降に日本年金機構からハガキ形式の申請書が郵送されます。
必要事項を記入の上、ハガキを返送すると新年度(4月~翌3月)の申請手続きができます。
2年目以降の手続きは手間が少なく簡単ですね♪
学生納付特例制度はいつまでに申請すればよいか
20歳の誕生日が近づくと「国民年金加入手続きのご案内」が管轄の年金事務所から届きます。同封されている書類「国民年金被保険者資格取得届書」を市区町村役所や年金事務所に提出します。(郵送可)
この「国民年金被保険者資格取得届出書」の提出と併せて「国民年金保険料学生納付特例申請書」を申請してしまえば、申請のし忘れを防ぐことができます。
ただし、このタイミングで申請をしていなかったとしても、保険料の納付期限から2年を経過していない期間(申請時点から2年1ヵ月前までの期間)について、さかのぼって「学生納付特例制度」の年金支払い猶予を受けることが可能です。
つまり、たとえば4年制大学だと、4年生になった年の誕生日の前月までに申し込めば学生納付特例による「猶予」が受けられるため「年金未納」扱いにはなりません。
国民年金被保険者資格取得届出書」の提出時に「学生納付特例」の申請をし忘れてしまっても、期限はあるけど後から申請が可能なのはありがたいな。
ちなみに、複数年度の申請を希望する場合は、複数枚の申請書の提出が必要となります。
学生納付特例制度は、学生の間の年金の支払いを「猶予」できる制度です。
「猶予」は「支払い免除」ではないため「あとから納付(追納)」する必要があります。
追納ができるのは「学生納付特例制度」が承認された月の前10年以内の免除等期間に限られています。
これを過ぎてしまうと、追納できず、結果として将来貰える年金の額が下がってしまうので注意が必要です。
【私の大失敗】年金支払に未納期間が生じてしまった
ここからは、私の年金支払の大失敗を紹介します。
大失敗1)そもそも学生納付特例制度を申請していなかった
言い訳をすると、その頃すでに精神疾患で体調が激烈に悪く、書類の提出というひと手間かかる行動ができなかったため、「学生納付特例制度」の申請をしていなかったのでした。
ですが、年金制度がそういう個別事情を許してくれるわけがありません。
大失敗2)あとからでも、在学中に申請しておけたのにそれもしなかった
先にご説明した通り、20歳の誕生日をすぎたあとも、2年1ヶ月前以内に「学生納付特例制度」の申請はできるわけですから、「学生納付特例制度」申請のための猶予期間はあったのです。それでも私は申請しませんでした。
大失敗3)【最悪】学生納付特例制度を使わず、そのまま年金を納付してしまった
冷静に2年1か月以内に「学生納付特例制度」を申請しておけば、「未納期間」は生じなかったはずなんです。
なのに私は学生時代のある日、制度のことを調べもせず、大して考えもせずに
とりあえず今払える年金を支払っておかなきゃ
と、なぜか思い立って後から年金を支払ってしまいました。
これによって「学生」であるにも関わらず「未納期間」が生じてしまったのでした。。。
障害年金に関する私の勘違い
勘違い1)初診日が20歳のときだと勘違いしていた
障害年金という制度を知って、受給するためのアクションを始めたのは2017年のことでした。
精神科の通院を始めたのがだいぶ前のことだったので、頭の中で勝手に20歳が初診日だと勘違いしていました。
勘違い2)学生期間中に、あとから年金を支払ったため、「未納」ではないという勘違い
私は大学生時代、学生納付特例制度の申請をしていませんでしたが、先述の通り在学中、ある日思い立って年金を納付したんですよね。
だから「未納」になっていると分かっていませんでした。
そのまま年金事務所の方と障害年金取得のプロセスを確認していた所、
あれ?大学在学中に学生納付特例制度を使っていましたよね?
え?申請はしていないけど、年金はあとから支払ったんですが・・・
ここで「数カ月間の未納期間があった」のが発覚。
支給要件を満たさないため、障害年金の申請はできません!
と言われてしまいました。
ショックでその場で泣いてしまった私。
こんなに病状が悪くて困っていても貰えないものなんですか?
支給要件を満たさないため、どうしようもありません。
ここまでで言えること。それは、
遺伝やストレス、不慮の交通事故などによって、いつ・誰が「障がい者」になるか分かりません。
障害年金は障がい者にとってとても重要なセーフティネットになりうるものです。
未納期間があると、どんなに病気や障害が重くても、障害年金をもらうことはできません。
したがってきちんと期日を守って年金を支払うか、「学生納付特例制度」などの「支払い猶予」や低所得者の「支払い免除」申請は必ずすべき
です。私自身の経験から強く強くお伝えします。
二十歳前傷病の制度により、実際は障害基礎年金を受給できた
ところで、
支給要件を満たさないため、障害年金の申請はできません!
と言われてしまった私でしたが、実際は障害基礎年金を受給することができました。
Twitterでフォロワーさんが二十歳前傷病(はたちまえしょうびょう)について教えてくれたためです。
自暴自棄なツイートと一通のリプライ
こんな連投をしていたら、一通のリプライが届きました。
二十歳前傷病?
「はたちまえしょうびょう」と読みます。
20歳到達前に初診日があり、一定程度の障害であることが認められると、年金の支払いの有無にかかわらず、障害年金の受給資格が得られる制度
です。
そのツイートをいただき改めて考えてみたところ
もともと20歳のときに精神科通い始めたと思ってたけど、よく考えたら19歳のときだ!!
とわかったんですよね。
2017年に障害年金の申請準備して却下されて1年諦めの気持ちで過ごしていたんですが、2018年、もう一度障害年金にチャレンジしてみることにしました。
結果、5年間の遡及とともに障害基礎年金2級の受給ができました。5年より昔の部分は「時効」によって年金支給にはなりませんでしたが、医療費がかさみ(当時は医療費が1割負担になる自立支援医療のことも知らなかった)5年分の障害年金を貰えただけでも、生活を立て直すことができました。
▼二十歳前傷病による障害基礎年金受給する方法と体験談はこちら
まとめ:私のケースはレアかもしれない。学生納付特例制度は必ず申請しよう
二十歳前傷病は20歳未満で発症した障害に対する障害基礎年金の制度であるため、今回のわたしのようなケースは稀かもしれません。
金銭面でうまくいかないことも影響して体調も悪かったため、言い方も変ですが
私はラッキーだった
と思います。その一言に尽きます。
「年金を支払っていないのに障害年金貰っていいのかな?」
と考えたこともありますが、
「早めに病気を寛解させて、いずれ年金支払も行えば良い」
と最近は割り切っています。
繰り返しになりますが、皆さんに伝えたいのは
いつ、どんな病気や障害を負うかわからないから、年金はきちんと期日を守って支払うか、「学生納付特例制度」などの「支払い猶予」や低所得者の「支払い免除」申請は必ずすべき
ということです。
「学生納付特例制度」の申請は、面倒かもしれませんが、複雑な手続きではないため、学生時代に年金を支払う余裕が無い方は必ず申請しましょう。
また、年金支払義務開始後、少し時間が経ってしまった場合でも、支払い開始月から2年1ヶ月前までであれば、遡って(「未納」扱いにならずに)「支払い猶予」が受けられます。
私のように、在学中にも関わらずあとから慌ててまとめて年金を支払うのではなく、とにかく「学生納付特例制度」を申請するようにしてください。
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