双極性障害やうつ病、統合失調症などを発症すると、仕事を休職・退職するほど病状が悪化していったり、知らず知らずのうちに家に引きこもりがちになったり、様々な社会生活と折り合いがつかなくなってきたりします。
そんな負のスパイラルから脱し「自立」「社会復帰」「就労」に向けて様々な支援が受けられるのが「精神障害者保健福祉手帳」です。
この投稿では精神障害者保健福祉手帳の申請方法や、対象者(どんな人がもらえるのか)、いつから申請できるのか、有効期限は?、障害年金との違いは?といった制度の特徴について紹介・解説します。
なお、精神障害者保健福祉手帳を取得すると、どんなメリット・デメリットが有るかについては以下の投稿をご参照ください。
▼関連:精神障害者保健福祉手帳のメリット・デメリット
精神障害者保健福祉手帳はどんな人がもらえる?対象者をチェック
精神障害者保健福祉手帳は、一定程度の精神障害の状態にあることを認定するものです。
一定程度の精神障害の状態とは、以下具体例のような何らかの精神障害により、長期にわたり日常生活又は社会生活への制約がある方を指し、対象となるのは全ての精神障害です。
- 統合失調症
- うつ病、そううつ病などの気分障害
- てんかん
- 薬物依存症
- 高次脳機能障害
- 発達障害(自閉症、学習障害、注意欠陥多動性障害等)
- そのほかの精神疾患(ストレス関連障害等)
私は障害者手帳について無知だったため、発症から8年経って初めて申請しました。が、メリット・デメリットを勘案したところ、対象になるなら早めに申請したほうが良かった!と感じています。
もし必要なくなれば返還もできるし、取っておいて損はないね。
精神障害者保健福祉手帳はいつから申請できる?
精神障害者保健福祉手帳の申請は、精神疾患の初診日から6か月以上経過すると可能になります。
長期にわたり日常生活又は社会生活への制約があるすべての精神障害を持つ方が利用できる精神障害者保健福祉手帳ですが、逆に初診日から6ヶ月未満のうちは申請できないのには注意しましょう。
精神障害者保健福祉手帳と似たような制度に「自立支援医療」と呼ばれる、精神科通院の医療費が1割負担になる制度がありますが、自立支援医療は「初診日から6ヶ月以上経過」という条件がありません。
したがって、金銭的負担をすこしでも減らしたい方は、精神科へ通院し始めた段階ですみやかに申請しておくと良いかもしれません。
精神障害者保健福祉手帳の等級は3段階
精神障害者保健福祉手帳の等級は3段階です。
症状が最も重いのが1級、続いて2級、3級に分かれています。
それぞれの等級の目安は以下のとおりです。
1級 | 日常生活の用を弁ずることを不能ならしめる程度のもの ⇒ (他人の介助を受けなければ自分の身の回りのことができない程度) |
2級 | 日常生活が著しい制限を受けるか、 又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの ⇒ (必ずしも他人の助けを借りる必要はないが、 日常生活は極めて困難で労働により収入を得ることができない程度) |
3級 | 日常生活若しくは社会生活が制限を受けるか、 又は日常生活若しくは社会生活に制限を加えることを必要とする程度のもの ⇒(日常的な家事、対人関係づくり、社会的手続きや社会資源の利用など、 十分とはいえないもののおおむね問題なく障害者本人が1人でできる状態。) |
なお、私が普段交流させていただいているTwitter上のフォロワーさんは、2級か3級の方が多い印象です。
私自身も2級を取得しています。
現在は夫と二人暮らしで夫からのサポートを延々得ながら無職で生活しています。
過去、一人暮らししてましたが1人だと生活は破綻気味(自炊できないから食事もまともなもの殆ど食べず、調子悪いと一日中寝ている、汚部屋、風呂チャレ無理)、仕事も欠勤続きでした。
「就労による収入を得ることができない」に当てはまりますね^^;
精神障害者保健福祉手帳の申請方法
さて、ここまで読んで「自分もあてはまっているかも」と思った方は申請手続きをしてみましょう。
ただし【前提】として
精神障害者保健福祉手帳は申請すれば必ず取得できるというわけではない
という点にはご注意ください。
取れるかどうかは以下で紹介する通り「医師に聞いてみる」のが一番確実です。
- STEP1医師に相談する
「手帳の取得を検討しているんですが、該当しますか?診断書を書いていただくことは可能でしょうか」と率直に聞くのがおすすめです。
OKだったら後日診断書を書いていただきたいと伝えておきましょう。
- STEP2市区町村役所の福祉課で書類をもらう
福祉課で「精神障害者保健福祉手帳を作りたい」と伝えると、
・障害者手帳申請書
・精神障害者保健福祉手帳申請用の診断書を渡されます。
- STEP3医師に診断書作成を依頼する
市区町村役所で渡された診断書を持参し、医師に診断書作成を依頼しましょう。
診断書はおおよそ2~4週間以内には書いてくれるはずです。
なお、精神障害者保健福祉手帳は自立支援医療(医療費が1割負担になる制度)と同時申請が可能です。まだ自立支援医療を申請していない人はこのタイミングで申請するのがおすすめです。(診断書は手帳用の1通でOK!)
- STEP4市区町村役所に書類を提出する
・障害者手帳申請書
・診断書
・顔写真(縦4cm✕横3cm)
(・同意書 ※年金証書の写しで申請する場合のみ)
(・確認書 ※障害者手帳に本人の写真を添付しない場合のみ)障害者手帳に写真を載せることで、障害者手帳を運転免許証等と同様の身分証明書として利用可能なので、写真は持参するのがおすすめです。
なお、体調悪くて自分で申請できない場合もあるかと思います。
代理人が申請することも可能なのでご安心ください。 - STEP5等級決定・手帳交付
申請から約2ヶ月で障害者手帳が交付されます。
精神障害者保健福祉手帳は2年毎の更新
身体障害者手帳、療育手帳の所持者に更新はありませんが、精神障害者保健福祉手帳は2年毎の更新制です。
自動で更新することはできません。
手帳に記載されている有効期限の3か月前から更新手続きが可能なので、体調悪いと手続きは大変ですが少し余裕を持って準備・申請すると良いでしょう。
病状が悪化した場合の等級変更
精神障害者保健福祉手帳3級認定されていたけれど最近かなり体調が悪くなってしまったわ
このように、精神障害の状態が悪化した場合には、障害者手帳の有効期限前でも等級変更の申請を行うことができます。
やや手間はかかりますが、
・障害者手帳申請書
・手帳交付用診断書
・顔写真(4cm✕3cm)
・現在交付されている手帳のコピーの提示・提出【追加書類】
を提出し、審査で認められると等級が変更されます。
この場合次の更新は、等級変更時から2年後に上書きされます。
精神障害者保健福祉手帳取得のメリット・デメリット
精神障害者保健福祉手帳を取得すると、様々なメリット・デメリットが生じます。
メリット(抜粋) | デメリット |
---|---|
・税金の控除 ・公共料金等の割引 ・公共施設等の利用料減免 ・障害者枠で働ける | ・大きな問題は特になし ※ただし生命保険には入りづらい場合も。 |
具体的には、以下ページをご参考ください。
精神障害者保健福祉手帳と障害年金の関係
精神障害者保健福祉手帳を持っているとお金がもらえるの?
と考えている方が一定数いますが、「精神障害者保健福祉手帳所持」ではお金をもらうことはできません。
お金をもらう(=年金をもらえる)のは障害年金の制度です。障害年金も1級・2級・3級にわかれているため混同しがちですが、障害年金の等級は精神障害者保健福祉手帳と直接の関係はありません。
※目安として近いとはいえますが、「手帳3級、年金2級」というパターンもそれほど珍しいものではありません。
就労移行支援でスキルアップを目指す
精神障害者保健福祉手帳を申請する方の中には、現在お勤め中の方もいらっしゃると思いますが、私のように失業し、その後の進路が定まっていない方も多いと思います。
体調を崩している間は療養に専念すべきですが、少し調子が上向いてきたら、次の就職に備え、「就労移行支援でスキルアップを目指す」という道があります。
就労移行支援は所得次第ですが多くの方が無料で利用できるサービスなので、まずは資料請求や見学だけでもしてみると、次のステージが見えてくるかもしれません。
名称 | 特徴 | 対象地域 |
---|---|---|
パーソルチャレンジ・ミラトレ | 転職サイトdodaで有名なパーソルグループ が運営する就労移行支援。 個別支援計画で着実にはたらく力が 身につきます。 | 東京・神奈川・千葉・埼玉・ 愛知・大阪・兵庫 |
【atGPジョブトレ うつ症状コース】 | 障害の症状別にきめ細やかなサポート。 就職後の定着率は91%と高い! | 秋葉原、横浜、梅田 |
CONNECT | 精神障害・発達障害の方のための就労移行 支援。職場定着率は87%! | 大阪 |
Cocorport(ココルポート) | 精神障害の就労支援に強み。 就職活動支援だけでなく、職場定着支援 にも力を入れている。 | 首都圏・大阪・兵庫・愛知・ 福岡 |
障害者枠での就職を視野に入れる
精神障害者保健福祉手帳所有のメリットの一つとして、障害者枠で就職活動、就労という選択肢を選ぶことができます。
障害者枠での採用を受けるためには、
・ハローワークから面接の応募をする
└ハローワークサイト https://bit.ly/3gQx5jc
・民間の障害者専用転職エージェントを利用する
└dudaチャレンジ https://doda.jp/challenge/promo/shutoken01.html
└atGP https://www.atgp.jp/
などの選択肢が考えられます。
また、通常の就労の前段階や通常の就労が難しい方は、就労継続支援A型事業所・B型事業所(以前の名称:A型作業所、B型作業所)に通所することも選択肢として挙げられるでしょう。
└厚労省「障害者総合支援法における就労系障害福祉サービス」
まとめ:精神障害者保健福祉手帳の申請方法。いつから、どんな人がもらえる?
いかがでしたか?
精神障害者保健福祉手帳の申請方法や、いつから、どんな人がもらえるかについて解説しました。
いつからもらえる?⇒精神疾患の初診日から6か月以上経過すると申請が可能
どんな人がもらえる?⇒精神疾患を有するすべての人
精神障害者保健福祉手帳の申請後、審査、交付までの期間⇒およそ2ヶ月
精神障害者保健福祉手帳を有効に使い、療養をしながらも「自立」「社会復帰」「就労」のサポートを活用していきましょう。
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