※2013年、2016年に受け取った傷病手当金の体験談を2022年現在、回想ブログとして掲載しています。現在の制度とは異なる可能性もあるため、正確な情報はご自身の管轄の協会けんぽ支部等にお問い合わせください。
こんにちは。双極性障害の躁鬱くん(@so_utsu_kun)です。
私は新卒で入社した会社にて、傷病手当金を2回受給しています。
1回目は入社後すぐ(2ヶ月)の怪我、2回目はそれから数年後、精神疾患(双極性障害)の病状悪化そのものによってです。
傷病手当金を解説するウェブサイトはたくさんありますが、傷病手当金の制度そのものだけでなく、傷病手当金受給の体験談を知りたい需要があるのではないかと考えたため、これから3回にわたって傷病手当金に関する体験談をブログ記事として掲載します。
第2回目の今回は、2回目の傷病手当金を貰った話を紹介します。
傷病手当金とは(わかりやすく解説)再掲
※第1回でも説明した内容の再掲です。
そもそも「傷病手当金」という言葉を初めて聞いた方もいると思います。
私も実際に怪我をして、会社から教えてもらうまで全く知りませんでした。
傷病手当金とは、病気や怪我のために健康保険に加入している本人(被保険者)が会社を休み、給料が支払われない場合に、全国健康保険協会、健康保険組合(保険者)などから、療養中の生活保障として給付される手当金を指します。
病気休業中の本人(被保険者)とその家族の生活を保証する制度です
2回目の傷病手当金は貰えるのか?
傷病手当金をすでに1回受給したことがある方の疑問として「2回目も傷病手当金を貰うことができるのか?」という疑問がありますよね。
答え:傷病手当金は2回目でも貰うことができます!
ただし、2回目の傷病手当金はあなたが置かれている状況によって貰うことができる条件が異なってきます。
まずは傷病手当金の支給の可否・条件について以下のフローチャートでざっくりご確認ください。
2022年現在、傷病手当金が支給される要件は
の3パターンです。
以下で詳しく確認していきましょう。
ケース1)前回と別の傷病である場合(私の場合)
傷病手当金は前回と別の傷病である場合、前回の傷病手当金の受給・受給期間にかかわらず最長1年6ヶ月の傷病手当金を受給することができます。
私の場合は2013年に怪我による欠勤で1回目の傷病手当金を受給しましたが、2016年に持病である双極性障害の症状の悪化に伴い、2回目の傷病手当金を受給しました。
別の傷病による傷病手当金の受給においては、1回目の傷病手当金の受給と申請書類や記入事項に違いはありませんでした。特に審査で弾かれることもなく、無事受給ができました。
ケース2)前回の傷病から通算して1年6ヶ月以下の場合(同じ病気の場合)
うつ病の再燃や、がんの再発など、前回と同じ傷病で再度休職する場合がありますよね。
この場合の傷病手当金の受給要件ですが、令和4年1月から制度に変更がありました。
令和4年1月以前までは、
傷病手当金の支給開始から「起算」して1年6ヶ月以内のみ傷病手当金の再受給が可能
でしたが、令和4年1月より、
傷病手当金の支給開始から「通算」して1年6か月の期間内であれば傷病手当金の再受給が可能
になりました。
「起算」と「通算」ってどう違う?
令和4年1月前までは1度傷病手当金を受給すると、不支給期間があってもトータルで1年6ヶ月までしか受給できない仕組みでしたが、令和4年1月からの改正で支給期間のみを通算して1年6ヶ月間傷病手当金が支払われるようになったのです。
以下の表で確認すると、わかりやすいです。
なお、上記表にも示される通り、同じ傷病で不支給期間を挟んで再度支給を受ける場合には、待機期間は必要ありません。
ケース3)前回の傷病が「社会的治癒」したあとに再発した場合
前回と同様の傷病で傷病手当金の支給を受ける場合には、上で示した通り、最大「通算1年6ヶ月まで」が傷病手当金の支給可能期間になります。
これを超えて(1年7ヶ月目以降も)傷病手当金を受給することはできません。
これは、「健康保険法(大正11年法律第70号)抄」において、
第99条 (略)
健康保険法(大正11年法律第70号)抄
2・3 (略)
4 傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年
六月を超えないものとする。
と定められており、
○ 同一の疾病又は負傷とは、一回の疾病又は負傷で治癒するまでをいう。
○ したがって、同一の疾病又は負傷には再発にかかるものは含まない。
と解釈されているためです。
ただし、例外はあります。
前回の傷病が「社会的治癒」したあとに再発した、と認められる場合には、再度、最大1年6ヶ月までの傷病手当金を受給することが可能です。
「社会的治癒」とは、「一度完治した」と認められた後で再発した場合を指します。
一度完治し、(数年間病院にも通っていなかったなど)相当の期間を経て、再発した場合にのみ別の病気とみなし、新たに傷病手当金を受給することができるようになるようです。
詳細は厚生労働省の傷病手当金についての解説が参考になります。(令和2年11月26日 第135回社会保障審議会医療保険部会 資 料 4)
https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/000698356.pdf
まとめ:傷病手当金は2回目ももらうことができる。期間や傷病名の違いをチェックしよう
いかがでしたか?
傷病手当金は2回目、3回目でも貰うことができます。
2022年現在、傷病手当金が貰える条件は
となっています。
特に2022年より前回の傷病から「起算」して1年6か月以内ではなく、「通算」して1年6か月以内になったことにより、これまでよりも多くの方が同じ病気や怪我が原因でもしっかり休養できる制度に変更になりました。
傷病手当金金の支給額は普段の給与の約3分の2と、決して多い額ではないかもしれませんが、傷病が治癒するまでのセーフティネットとして大変心強い制度です。
特に私のように双極性障害などの精神疾患が断続的に悪化して、「数ヶ月働いてダウン」「また数ヶ月働いてダウン」・・・という場合もあるかもしれません。
傷病手当金は従業員が傷病時に受け取ることのできるれっきとした制度ですので、「何度も休職してしまい申し訳ないから退職する」と即座に判断してしまう必要はありません。
制度をよく理解し、効果的に使うことで安心して療養し、その後の社会復帰への道筋も明確になると私は考えます。